古本屋まるちゃんの人生卑猥っす!
月刊イヌ時代が第三号まで出た。飽き性の僕にとってこの数字は奇跡に近い。
このイヌ時代だが、僕の周りの少し様子のおかしい人たちに面白いコラムを書いてもらおうと言う思いからスタートしている。
「世間に媚びない」
「カッコつけない」
「自分の書きたいものを書く」
という誌是を掲げ、その少し様子のおかしい著者の皆さまには毎号「好き勝手書いてください」とお伝えしている。
イヌ時代自体は、今流行りの「公民連携」のような事業でもないし、日々の生活に役に立つような情報誌やタウン誌とも違う。
公民連携は財源調達やイメージ、発信力等いろいろな面で魅力的だけど、モノを作っていく過程で少しでも「公」が混ざると、発言や振る舞いなど運営上、どうしても周りに気を遣わなければならない場面が出てくる。
それはイヌ時代の誌是「自分の書きたいものを書く」に反するし、書きたいものが書けなくなるのは最早文化じゃない。
何よりストレスが溜まる。
月刊イヌ時代は人のために尽くす必要もないし、地域のためにある必要もない。イヌ時代は良い子ちゃんになってはいけないのだ。
その反面、売れる要素はあまりない(笑)。
イヌ時代をつくり始める前は「今どき、こんな独りよがりで超個人主義なコラム誌、どこのだれが読むのだろう」「創刊号が記念号になって終わる」と常々不安だった。
それが、創刊号から新たに一号出した辺りで、なぜかもう新聞に掲載されてしまった。
三号目を作ってからは、新刊書店や市外の本屋さんでも取り扱いを開始している。
何だかよく分からないことになってきた。
モノを売ることは本当に奥深いなと最近思う。
僕は営業の仕事を経験したことがないのだけど、イヌ時代を前進させていく中でなんとなく、営業というのはモノを売り込んでいくと言うより、それを売っているヒトを売っていった方が良いような気がしている。
自分の良いところもだらしのない部分も全て、売る人に見せていく。何だか小説を書く作業に似ている。
正直このイヌ時代は、書き手も素人ばかりだし、頁もやたら薄いのに500円もかかるウンザリするようなコラム誌だ。欠陥だらけな感じが僕と非常に似ている。
しかし、それらのダメな部分を隠しても仕方がないので(そもそも隠しようがない)、ダメな部分も含めてイヌ時代を愛してもらえるよう売り込むようにしている。
そうすることは、何より自分がラクで良い(笑)。
いま本屋さんに行くと、いかにも役に立ちそうなビジネス本や実用書がひしめいている。
著者の皆さんに「好き勝手に書いて」とお願いしているイヌ時代は、それらのビジネス書とは違い、何の役にも立たなそうである。いまの出版界の流行と真逆を行っている。
でもそこが面白いなと思う。僕が求めているのは、効率的で余白の薄れてきた世界がうっかり忘れかけている部分だ。
それに実際、著者さんが送ってくれる原稿はどれも面白い。
これからも役に立たなそうなものを作り続けていきたい。
コロナ対策としてnoteを使用した販売も開始した。今はやはり、リアルとネットを繋ぐものが強いんだなあと実感している。
どうやら著者さんのファンの方が購入してくれているみたいで、徐々に売れ始めている。
当の編集長の記事だけ全く売れてない。こういうところで人徳が出るんだなと思う。誰か僕の記事買ってください…