古本屋まるちゃんの人生卑猥っす!
夏本番。今年も暑い夏がやって来た。
他の季節と比べ、夏だけが明確に「来た!」と言うのがわかる。なぜなんだろう。
梅雨明け宣言もあるだろうが、たぶんその理由の一端を担っているのは、セミだ。
あのセミの野郎がどこかでやかましく鳴き始めるのが聞こえると「あ〜今年も、夏が来た」と思うわけである。
大学生の頃は、夏が来ると中学の時一緒のクラスだった男友達4~5人くらいで、いつもどこかの山の川辺にキャンプにでかけた。
それは毎年の夏の恒例行事で、必ず友達の誰かの家に前泊し、全員で朝までゲームをやってから野営場所にでかけるのだった。
夏の夜なのでプレイするゲームも『クロックタワー』や『かまいたちの夜』などのホラーものがうってつけだった。この大学時代の夏休み、キャンプ前夜のホラーゲーム大会は、フジロック3日間と比肩するくらい当時の僕の楽しみのひとつだった。
皆二十歳になり大学や専門学校でお酒やたばこの味を覚え、覚えたてのそれらを昔からの馴染みと冗談を飛ばしながら味わう。
夏休みの夜にそういった大人の遊びをしながらやるゲームは格別だった。
今思い返すと、キャンプという行為そのものよりも、酒やたばこ、TVゲームといった、キャンプの前後や周辺にくっついている遊びなんかが楽しくて集まっている気配もあった気がする。
そういった理由からか、翌日キャンプ場に行って川遊びやBBQをしたりした記憶があまりない。
記憶にあるのは、焚き火を囲みながら友達たちと「古今東西」をしたこと。
漫画やアニメ、ゲームの登場人物、技の名前、友達のお母さんの名前や中学の先生の名前を駆使して競う壮大なしりとり遊びで、「アバンストラッシュ→雪村螢子(幽遊白書のヒロイン)→小島よしお」みたいなのを酒を飲みながら永遠に続けていく。
瞬時に空気を読み、その場に見合ったキレのあるボキャブラリーを叩きつける高度な遊びだ。インテリすぎても皆に伝わらないし、ポピュラーすぎてもつまらない。絶妙な中庸ワードをぶつけ合う言葉の戯れ。今思い出してもゲラゲラ笑いが止まらない。
ひとしきりやって古今東西に飽き始めたくらいから、キャンプ場も真っ暗な闇夜になる。そうすると男4.5人で花火が始まる。男同士が集まってやる花火も、キモいがなかなか楽しい。
僕はみんながワイワイ手持ち花火をやっている後ろでいつもこっそり全裸になり、彼らにそろそろと近づいていく。
花火の儚げな光で僕の一糸纏わぬ姿がボウっと浮かび上がり、それに気づいたみんなが爆笑してくれるのがいつも好きだった。
キャンプの花火中に僕が全裸になるのもなぜか恒例行事、お約束の流れのひとつになってしまい、まあ大学生というのは結局馬鹿な集まりということなのだ。
キャンプの翌日も、早朝から僕は忙しい。友達がまだテントで寝ている時間からそろそろと起き出し、テントから這い出てズボンを脱ぐ。
何をするかと言うと、テントと駐車場の道の間くらいの場所に密やかに野グソをしておくのだ。
キャンプの夜はバーベキューを食べたりたくさんのお酒を飲んだりするので翌日は決まってお腹を下していて、それがためにその内容物も大変なことになっている。
僕は夏の早朝からそうやって汗をかきかきイタズラのネタを仕込んでおいて、みんな早く僕のドロドロ野グソに気づかないかなあとワクワクしながら朝を過ごす。
そうやって帰りの時間、駐車場へ向かう友達たちのヒャーッ!という声にガッツポーズをするのだ。これも夏休みキャンプの恒例行事だった。
お食事中の方は、大変失礼いたしました。