古本屋まるちゃんの人生卑猥っす!
小学生の時、テレビ番組で「藤岡弘探検隊」の放送を見てから、「探検隊」という言葉に魅了され続けてきた。「探検隊」と聞いて、思わず微笑んでしまうのは、たぶん僕だけじゃないだろう。
大の大人たちが大真面目に、未確認生物「クルピラ」や謎の巨大猿を探しにジャングルに侵入していく。
探検の最中、全身を毛で覆われた正体不明の生き物がいきなり現れて走り去っていったり、隊員が悲鳴をあげた瞬間に坂の上から重さの全く感じられない巨大岩が転がってきたり。
あるいはジャングルを流れる川に、あまりにも不自然にかけられた人工的な丸太橋から隊員が悲鳴とともに落下したり。
ありとあらゆる仕掛けが藤岡弘隊長、及び隊員に襲いかかるたびに、僕はテレビの前で兄と爆笑していた。
番組から流れ出すアホな空気とは余りにも対称的な、田中信夫さんの鬼気迫るナレーションも最高だった。
中学に入ってからは、作家の椎名誠さんの著作「わしらは怪しい探検隊」の虜になった。
キャンプ経験の全くない椎名さんやその仲間たちが、何の目的意識もなく日本の離島に突撃し、浜で飯盒炊爨をしたり流木焚き火をしたりする。
その挙句、せっかく釣った魚をノラネコやカラスに襲撃されたり、海水浴中に離岸流にハマり、沖に流されて死にかけたり。とにかく素人だからひどい目に遭う。
真面目な人が多く、閉塞感ばかりの日本で、堂々とくだらないことをやって、しかもそれでちゃんとお金を稼いでいる椎名さんの「怪しい探検隊」を発見した時、「こんなに自由に生きている人もいるんだ!」と僕は心底感動した。
早稲田大学には「探検部」があって、血気盛んなワセダ生はその門をくぐるという。
「合コンよりも野宿を愛する」と言われているワセダ探検部を知ったのは社会人になってからで、もし時間が巻き戻せるなら大学受験まで戻って必死にワセダを受けて探検部に入りたい。
この早稲田大学探検部のOBには、クレイジージャーニーや『幻の怪獣 ムベンベを追え』でお馴染み高野秀行さんがいる。高野さんの本は、どれも最高にアホで面白い。
「探検」と名のつく組織に関わる、様々な人間を見てきた結果、僕はあることに気づいてしまった。いい歳をした大人が大真面目にアホなことをすると、こんな面白いんだということに。
こういった文化の熱は絶やしてはいけないと、大人になった僕は思っている。ちょうど「月刊イヌ時代」もエッセイ大賞を終えてヒマになるし、そろそろ探検隊をやりたいなと思い、組織することにした。募集要項はこちら。
募集隊員にはぜひアホそうな人が集まって欲しいなと思っている。連絡お待ちしております。